2001年 CWAJ海外留学大学院女子奨学金 蔭山麻里子

1.自己紹介をお願いします。

蔭山麻里子です。出身は名古屋です。アクティブで自立した女性として、過去 24 年間アメリカ合衆国のさまざまな地域で生活してきました。コロナ禍の頃からシアトルの法律事務所でテレワークをしていましたが、2025 年夏、転職で日本に帰国しました。今は仙台で東北大学に勤務しています。
生涯学習者という称号が私には一番しっくりくる気がします。40 代で大学に戻り、ワシントン大学法務大学院(ロースクール)でフルタイムの学生として学び、2018 年に法務博士号を取得しました。2020 年前半に、2 度目の挑戦で司法試験に合格しました。おそらく私のクラスで一番最後に合格したのではと思います。これまで何度も予期せぬ展開や困難がありましたが、学業的にここまで達成できたことに誇りを持っています。

2.CWAJ との関係は。

2001 年 CWAJ SA 奨学生の一人です。この奨学金のおかげで、テキサス・テック大学で博物館学の修士号を取得し、その後すぐ博物館でのキャリアをスタートさせることができました。CWAJ の支援に今でもとても感謝しています。
当時私は京都大学で野生動物を研究する動物学者志望でした。それまで海外に一度も行ったことがなかった私が、ある暑い夏の日、人生初めての太平洋を横断する飛行機に乗って、テキサスの砂漠の真ん中に一人で降り立ちました。ここから私の新しい人生が劇的に始まりました。最初の学期が始まって 1 週間の時に 9・11 事件が起こりました。今でも鮮明に覚えています。幸いなことに、私は留学先のテキサスで素晴らしい経験をし、最高の友人をつくりました。多分野にわたる訓練を通して、自然史コレクションを管理するのに必要な専門知識を身につけることができました。自然史コレクションは、科学研究や教育のための貴重な資源です。卒業後、ニューヨークのアメリカ自然史博物館で夢のエントリーレベル職に就き、その後コロラド大学ボルダー校の自然史博物館で正規職を得ました。動物学コレクションの専門家として約10 年間働きました。
(注:私の詳細プロフィールについては、このリンクからご覧になれます https://www.linkedin.com/in/kageyama/)
2013 年頃、私は仕事で大きな壁に直面しました。詳細は割愛しますが、真っ暗なトンネルの中にいるような絶望感と苦悩に襲われ、情熱を注いでいた博物館の職を辞めざるを得ませんでした。じっくり自分自身と向き合った結果、科学や博物館で培った私の知的な強みに、さらに「追加」するかたちで法律を学ぶことを決意しました。社会に、より意味のあるかたちで役立ちたいとも思いました。この後の私の歩みは、先ほどお話した通りです。

3.今後の目標は。

新たに身につけた法律実務のスキルを活かして、私の次の目標は、科学、技術、芸術、文化という私が最も情熱を注ぐ分野で法律顧問となり、法律の実務を実践することです。長年、私を専門キャリア的にも個人としても成長させてくれたコミュニティに、今度は自分が恩返しをしたいと思っています。いつかクライアントの抱える複雑な法的課題に対して、創造的な解決策を提供できるようになることが私の願いです。幸い 2025 年 7 月からアカデミアに戻り、東北大学で国際連携や法務を含め大学研究者さんを支援するリサーチ・アドミニストレーションという業務に従事しています。現在もキャリアの昇華に向けて日々自己研鑽に努めています。

4.若い頃の自分に言いたいことがあればなにですか

あなたの人生の軌道は決して一直線ではなく、起伏に富んだ曲がりくねった道で、多くの障害物や分かれ道もあるでしょう。当初の計画から外れることは、必ずしも失敗ではありません。将来の計画は柔軟に捉えましょう。しかし一度決断したなら、自分の選んだ道についてしっかり責任を持ちましょう。
次に、あなたと異なる、あるいはあなたと正反対の意見を持つ人々の話に耳を傾けること。特に上司、メンター、同僚からの建設的な批判には、真剣に向き合ってください。

5.CWAJ の今のメンバーや、これからの奨学生に言いたいことは。

釈迦に説法かもしれませんが、新しく出会う人々と関係を築くことを楽しんでください。そして何より大切なのは、一緒に働いて楽しかった人たちとつながり続けることです。この素晴らしい CWAJ のグループはもちろんのことです!幸いなことに、今は SNS のおかげでネットワークを広げるのもとても簡単になりました。どうぞ私にも気軽に「友達申請」してください。
最近選ばれた CWAJ 奨学生の皆さん、そしてこれから選ばれる皆さんへ。あなたの人生の旅路のどこにあっても、人生のハンドルを握っているのはあなたご自身です。あなたの人生はワクワクする出来事や、冒険、幸せで満ち溢れているでしょう。でも時折困難も待ち受けているかもしれません。時々、どうか自分にご褒美をあげて、しっかり休んでください。
これまで歩んできた道を振り返り、道中で助けてくれた人や応援してくれた人たちに感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。自分が受けた善意を、どうぞその先の誰かにつないでいってください。いつでも面白いチャンスを見つけたら、ぜひ思い切って掴んでいってくださいね。

2025 年 7 月更新

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