ヤング・プリントメーカー賞

CWAJ現代版画展50周年を迎えた2005年に、版画界への謝意と未来を担う若い版画家への期待をこめて、ヤング・プリントメーカー賞を創設しました。応募資格があるのは、前年に版画学会主催の全国大学版画展で美術館優秀賞を受賞した約30名です。受賞作を含めた数点の作品と賞金活用の企画案をもとに、将来性と独創性に重点を置いて審査し、毎年1名に賞金50万円を授与しています。
受賞者には賞金に加えて、その年のCWAJ現代版画展で受賞作品を展示し、さらに3年後の版画展でも新作を発表する機会が与えられます。これまでの受賞者の多くが、新進版画家として着実に歩を進めています。

2022年度 受賞者

長沼 翔

プロフィール

1998年 長野県生まれ、東京都在住
    日本大学大学院修了

2021年 第8回山本鼎版画大賞展 入選 
2021年 第46回全国大学版画展 優秀賞、町田市立国際版画美術館賞


私は,最新作が自身の最高傑作だと誇れるように心がけて銅版画作品を制作しています。

それに伴い,新しい表現を模索していく中で,自ら描いたドローイングをカメラで撮影し,写真製版を用いて銅版に刻み込むという,回りくどい方法を制作に取り入れています。この表現方法は,写真表現の性質の一つでもある「瞬間を切り取る」ことから生じる,「混じり気のない正確さ」によって,過去に描いたドローイングを,時間を超えてもなお,その時の感覚を取りこぼすことなく,銅版に刻むことができると考えます。それは『虚構と現実の曖昧さ』をテーマとして銅版画制作を行う私にとって,必要不可欠な工程や考え方であると思っています。そしてこの先,銅版画と写真の歴史的な関わり合いや,写真製版を応用させた技法を研究することで,多角的に広がり続ける現代アートの中で,自分自身が銅版画を制作する意義を見いだしたいと考えています。

YPAの賞金で、プレス機と、ウォーマーやアクアチントの設備、プリンターなどの機材を揃え、版画制作を続けていきたいと思っています。

CWAJ現代版画展 ロロ・ピアーナ女性アーティスト奨励賞受賞者

イタリアを代表するファッションブランドのロロ・ピアーナ ジャパン社が、50年にわたって女性リーダーの育成に注力してきたCWAJの理念に共感して女性アーティストをご支援くださることになり、第65回CWAJ現代版画展女性アーティスト奨励賞(賞金50万円)を設けることができました。受賞者に選ばれたのは、木版画の大型新人として将来を嘱望される小野寺唯さんです。この賞が小野寺さんのさらなる飛躍と日本の版画界の発展に貢献することを願ってやみません。

小野寺 唯

プロフィール

1998年 山形県生まれ 岐阜県高山市在住
    東北芸術工科大学・大学院

2020年 飛騨高山国際現代木版画トリエンナーレ2020入選
2021年 日本版画協会第88回版画展 賞候補 準会員推挙 (東京都美術館)
2021年 第46回全国大学版画展 優秀賞・町田市立国際版画美術館賞(上田市立美術館)

現在は岐阜県高山市に住んでいますが、将来的には出身県である山形県に戻り、より版画が親しみやすいものになるよう版画工房を作りたいです。

ブルーインパルスが飛んだってよ。
I heard that Blue Impulse Flew Over  
2021 Woodcut


私の制作のテーマは人間性の表現です。日常の中に見える人間性を木版画で表現しています。何気ない人間の仕草や表情などを捉えることで人間性とは何かを問いかけています。 制作技法は水性木版です。水性木版画は摺り重ねにより、キャンバスや画用紙の上ではできない深い混色や絵の具の濃度を変えて摺ることで違った表情を作れるのが魅力です。その魅力を引き出せるように、摺りにおいては人一倍気を使い、摺りの多様さで自分の作品独自の表現を追求しています。


ロロ・ピアーナについて

ロロ・ピアーナは、イタリアの卓越性の象徴であり、そのコレクションは控えめなエレガンスを特徴としています。1924年の創業以来、ロロ・ピアーナではグローバルなお客様に美しく最高品質の製品をお届けすることを使命とし、そのサービス・クオリティのさらなる向上にも努めています。


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