College Women's Association of Japan
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ヤング・プリントメーカー賞

CWAJ現代版画展50周年を迎えた2005年に、版画界への謝意と未来を担う若い版画家への期待をこめて、ヤング・プリントメーカー賞を創設しました。応募資格があるのは、前年に版画学会主催の全国大学版画展で美術館優秀賞を受賞した約30名です。受賞作を含めた数点の作品と賞金活用の企画案をもとに、将来性と独創性に重点を置いて審査し、毎年1名に賞金50万円を授与しています。
受賞者には賞金に加えて、その年のCWAJ現代版画展で受賞作品を展示し、さらに3年後の版画展でも新作を発表する機会が与えられます。これまでの受賞者の多くが、新進版画家として着実に歩を進めています。

2023年度 受賞者

佐藤 翼

 

1994年 東京生まれ、神奈川在住
    多摩美術大学大学院
2019年 日本ブックデザイン賞ポスター部門、APM賞
2020年 かつしか若手アートコンペティション2020、審査員特別賞
2022年 多摩美術大学卒業制作展 卒業作品優秀作品賞、
             かつしか若手アートコンペティション2022、準グランプリ
             第47回全国大学版画展、優秀賞

 

私は、プリミティヴィズムのエッセンスと木版画を用いて、現代社会におけるコミュニケーションの複雑性等の言語化できない感情の視覚化をテーマに制作しております。
私の作品制作において『対峙』はとても重要なキーワードです。
版を彫刻刀で彫ることで、今の自分から直接的に湧き上がる感情と『対峙』し、紙に刷った作品と今一度、俯瞰的に感情と『対峙』することで、改めて自分を知ることができると考えています。己を知ることは、私の作品制作においても、現代社会における言語化できない感情の視覚化においてもとても重要なことであると私は考えています。
モチーフが簡略化され、シンプルで直感的なプリミティブアートは、人類の本能的な力強さを伝える大きな魅力を有し、時代性や宗教観をも超越し、象徴的かつストレートな表現技法であるプリミティヴィズムは私の作品の重要なエッセンスです。そして木版を焼き、木目を強く表現することで、コミュニケーションの複雑性というテーマの普遍性を表現しています。

YPA賞で頂戴いたしました賞金は、プリミティヴィズムの調査費用と版画集の制作費と制作の研究発表として個展を開催するための費用として使用させて頂きたいと考えております。

CWAJ現代版画展 ロロ・ピアーナ女性アーティスト奨励賞受賞者

イタリアを代表するファッションブランドのロロ・ピアーナ ジャパン社が、 50年にわたって女性リーダーの育成に注力してきたCWAJの理念と 日本の現代版画を世界に紹介してきたCWAJ版画展の歴史に共感し て、女性アーティストをご支援くださることになり、第66回CWAJ現代 版画展 女性アーティスト奨励賞(賞金50万円)を設けることができま した。この賞が、若い日本の版画家のさらなる飛躍と日本の版画界の 発展に貢献することを願ってやみません。

ロロ・ピアーナ 女性アーティスト奨励賞 受賞者

上原 あかり

1999年 栃木県生まれ 栃木県在住
東北芸術工科大学・大学院

2020年 第45回全国大学版画展 優秀賞
             個展 (川上澄生美術館)
2022年 第47回全国大学版画展 優秀賞・観客賞

私が制作している「レジンプリント」は研究の末にたどり着いたオリジナルの版画技法です。この技法は、原版から図像をうつしとる際に紙の代わりにエポキシレジンという無色透明の液体樹脂を使用するため、まるで氷の欠片のように「透明な版画」を作ることができます。私は、レジンの透過性と音楽や言語記号に宿る叙情性を重ね合わせて、思考の中に漂うイメージの残像のような作品を制作しています。今後の目標は、この新規の技法「レジンプリント」がもたらす繊細な光の表情と、誠実に「描く」ことに徹する作り手としての精神性を表現の中で融合させ、版画の新たな可能性を社会に発信することです。そして、見る人の心にささやかな灯りをともすことができる作家になりたいと願っています。