ヤング・プリントメーカー賞

CWAJ現代版画展50周年を迎えた2005年に、版画界への謝意と未来を担う若い版画家への期待をこめて、ヤング・プリントメーカー賞を創設しました。応募資格があるのは、前年に版画学会主催の全国大学版画展で美術館優秀賞を受賞した約30名です。受賞作を含めた数点の作品と賞金活用の企画案をもとに、将来性と独創性に重点を置いて審査し、毎年1名に賞金50万円を授与しています。
受賞者には賞金に加えて、その年のCWAJ現代版画展で受賞作品を展示し、さらに3年後の版画展でも新作を発表する機会が与えられます。これまでの受賞者の多くが、新進版画家として着実に歩を進めています。

2025年度ヤング・プリントメーカー賞受賞者

小林 幹太

2001年 山梨県生まれ、東京都在住
日本大学大学院芸術学研究科博士前期過程造形芸術専攻版画分野 在籍

2024年
第9回山本鼎版画大賞展 入選
第49回全国大学版画展 優秀賞 受賞

[Under the light] 灯りの下で 2024 woodcut (water-based ink) 193 x 102 cm (183 x 92 cm) ed 5

私は自身の価値観を明確にし、画面に固定化することを目的に作品制作をしております。過去、現在、未来において同じモチーフを見たとしても、自身の感性や周りの環境の変化により、そのモチーフから受け取る情報の異なることが往々にしてあります。その為、作品制作を通し今現在の自身の価値観を測り、自身が何を重要視しているのか、その移り変わりを観察しています。受賞作品の『灯りの下で』は私の住んでいる寮の近くにある公園をモチーフに制作したものです。夜な夜な公園に通い、そこで感じた音、光、触覚を自身の中で再解釈し、画面に線や面を用いて表現しました。画面の人物は桜の木をモチーフにしており、私の生まれる前からこの場所を見守ってきたであろう桜の木は、これまで何を見てきたのだろうか、と考えながら制作しました。YPA賞で頂戴いたしました賞金は、版画家としての更なる下地の形成を目的に、和紙や道具の比較実験をする為の資金として活用させていただこうと考えております。